TOP INTERVIEWトップインタビュー

平素より格別のご高配をたまわり、厚くお礼申しあげます。2024年3月31日をもちまして、2023年度を終了いたしましたので、ここにその概況をご報告申しあげます。今後とも一層のご支援、ご協力をたまわりますようお願い申しあげます。

代表取締役社長

 

 

 

2023年度の事業環境について

2023年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行したことで、経済活動は正常化に向かい、個人消費や輸出に持ち直しの動きが見られましたが、世界的な設備投資意欲の減退など依然として厳しい状況となりました。世界経済は、米国景気は底堅い一方、欧州は景気減速傾向にあり、また中国は輸出の低迷や不動産市況悪化の影響等により景気回復が遅れております。加えて、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東地域をめぐる情勢の悪化による資源エネルギー価格の高止まり・物価上昇など、先行き不透明な状況にあります。

 

化学業界におきましては、為替相場は、米国のインフレ率の鈍化や日銀による金融政策正常化への期待の高まりなどから円が反発する場面もありましたが、年間を通して米欧の長期的な金融引き締め観測から円安方向に推移しておりました。原油価格は世界的な景気の鈍化はあるものの中東情勢の緊迫化を背景に上昇基調を示しており、また中国の内需不振に加え中国製品の供給過剰により日本およびアジアマーケットにおける価格競争が激化するなど、事業環境は予断を許さない状況にあります。

 

2023年度の業績について

当期の売上高は、販売量の減少などにより1,595億1千万円(前年度比8.8%減)となりました。利益面では、販売量の減少や新基幹システム稼働に伴う減価償却費の増加などにより営業利益は48億8千6百万円(前年度比39.8%減)、経常利益は81億8千6百万円(前年度比17.5%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は子会社における減損損失の計上や高吸水性樹脂事業及び中国における生産事業からの撤退に係る損失(事業構造改革費用)の計上などにより85億1百万円(前期は56億8千4百万円の利益)となりました。

 

 

高吸水性樹脂事業及び中国生産事業からの撤退について

3月25日に発表しましたとおり、当社は2023年度より始動した『新中期経営計画2025』における構造改革の一環として、高吸水性樹脂(以下、SAP)事業及び中国での界面活性剤等の生産事業から撤退することを決定いたしました。

本事業撤退に伴い、事業構造改革費用(固定資産除却損、契約解除清算金等)として2023年度から複数年度にわたり総額約200億円の特別損失を計上(2023年度には約120億円)する見込みです。また、本事業撤退を含む構造改革により、2024年度は前年度比約10億円の営業利益改善を見込んでおります。

 

当社は、1978年に世界で初めてSAPの商業生産を開始して以降、世界的な紙おむつの普及に伴いSAP事業を拡大し、高品質のSAPを安定的に供給することを通じて、アジアにおける紙おむつ市場の拡大と生活の質の向上( QOLの向上) へ貢献をしてまいりました。しかしながら、SAPメーカーの新規参入が相次いだことに加え、近年では新規参入メーカーの技術レベルが向上し、品質による差別化が困難な汎用製品となったことで、当社のSAP事業の収益性は急速に悪化しました。このようなSAP事業の厳しい競争環境を鑑み、事業再構築や事業売却などのあらゆる可能性を検討した結果、今回の決断に至りました。

 

上記のとおり特別損失を計上いたしましたが、本構造改革の断行により収益力及びキャッシュフローは改善し、成長事業へ経営資源を適切に配分することで、中長期的な成長は確かなものになると考えております。引き続き、基盤事業の収益力向上、基盤事業からの新たな展開、新たな成長軌道としての新規事業開発に注力し、事業ポートフォリオの変革を加速させてまいります。

 

 

新中期経営計画2025について

2030年のありたい姿の実現に向けた持続的な成長の道筋を明示するため、『新中期経営計画2025』を策定し、グループ一丸でサプライチェーン全体の価値向上に取り組んでいます。

経営環境の変化により足元の業績は厳しい状況にあり、『新中期経営計画2025』初年度である2023年度業績は期初計画未達となりました。このような環境下においても、当社は「ありたい姿」への到達に向けた取り組みを着実に実行しており、2023年度は「基盤事業の見直し」としてのSAP事業等の撤退を含む一連の構造改革を推し進めることができました。これにより、収益力を向上させる環境整備が一歩進んだと考えております。

残りの期間におきましては、「事業戦略」の実行を徹底することにより、利益の創出と積み上げを図り、2025年度営業利益150億円に近づけるべく努力してまいります。また、「ありたい姿に向けた変革」をますます加速させ、「新たな成長軌道」に乗るための新規開発事業を推し進めるなど、将来に向けた取り組みも強化してまいります。

 

 

利益還元について

2023年度の期末配当につきましては、1株当たり85.0円(年間1株当たり170.0円)とさせていただきました。次期の中間配当ならびに期末配当につきましては、1株当たりそれぞれ85.0円(年間1株当たり170.0円)を予定しております。当社は、グループ収益力の向上により、将来に向かっての企業基盤強化を図りながら、株主の皆様への利益還元を充実させていくことを経営の重要課題と考えております。連結配当性向30%以上をめどに、中長期的な配当水準の向上を目指しております。

 

 

 

最後に、メッセージをお願いします。

当社グループは収益力の向上を実現し、将来にわたって持続的な成長を遂げ、それを通じて「ありたい姿」へ到達することと並行して、ステークホルダーのみなさまへの還元を充実させてまいります。今後とも一層のご支援、ご協力をたまわりますようお願い申しあげます。

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