カーボンニュートラル(CN)および生活の質(QOL)の向上に貢献する、特殊繊維用薬剤、特殊電子部品用薬剤、潤滑油添加剤、永久帯電防止剤、医療・医薬関連製品を注力5製品群と位置付け、中期経営計画期間を含む2021年度~2025年度で90億円の設備投資を計画しています。この設備投資による増分営業利益は25億円を見込んでおり、注力5製品群で2025年度に営業利益79億円の達成を目指します。さらなる事業の拡大を図るため、追加投資も検討します。
注力5製品群の売上高/営業利益/営業利益率の実績と目標
高付加価値製品群への設備投資の加速
特殊繊維用薬剤
本製品群はCNに貢献する製品群です。特殊繊維用薬剤としては、主に炭素繊維用途などがあります。炭素繊維の主用途(風力発電、自動車、航空機、圧力容器)のひとつである風力発電用ブレードは、再生可能エネルギーの広がりで需要が急伸しています。風力発電の増加やブレードの大型化が進むとともに、炭素繊維の需要拡大が見込まれます。また、新分野での用途開発も進んでいます。炭素繊維の需要の拡大に対応するため、炭素繊維用集束剤の生産能力を増強することを決定しており、名古屋工場、京都工場の現有の設備に加え、新たに鹿島工場に生産設備を設置します。当設備は2024年5月に稼働予定で、5割程度の能力増強となります。炭素繊維用集束剤の安定供給を確保し、世界的な需要拡大に対応するとともに、再生可能エネルギーの活用や産業の発展はもちろん、ひいては気候変動への対策としても大きな役割を果たしていきたいと考えています。炭素繊維の需要の拡大に対応すべく、さらなる能力増強について引き続き検討していきます。
炭素繊維複合材料の用途別世界市場予測
特殊電子部品用薬剤
本製品群はCNに貢献する製品群です。特殊電子部品用薬剤としては、主に電子回路などに用いられるアルミ電解コンデンサの電解液などがあります。アルミ電解コンデンサ用電解液は一般的な電子機器から社会インフラを支える重要な電子部品まで幅広く使われています。当社のアルミ電解コンデンサ用電解液は、広い温度領域で高い電気伝導率を示すとともに、高温での長期安定性に優れ、業界標準のロングラン製品となっており、自動車の制御ユニットなど、より信頼性が求められるコンデンサにも採用されています。現在、自動車業界では電気自動車(EV)をはじめとする自動車の電装化により、運転支援システム回路など車載用電装部品が増えています。この需要の高まりに対応した安定供給を確保するべく、生産能力の増強を決定しており、2025年3月には現行生産能力より6割増強となる予定です。
コンデンサ世界生産予測
潤滑油添加剤
本製品はCNに貢献する製品です。自動車業界では、CO2排出量の削減を目的に電動化の動きと並行して、ガソリン車の省燃費ニーズが高まっています。当社の潤滑油添加剤は燃費向上効果が高いため、ガソリン車、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)のエンジンオイルに採用されており、アフターメンテナンス用での交換、需要は増大すると想定しています。本製品の世界的な需要の増大に応えていくべく、日本、中国に続いて韓国に生産拠点を設立し、生産設備が稼働しました。あらゆる自動車の省燃費化に貢献するため、EVに最適な潤滑油添加剤の開発にも取り組んでいます。
ガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の販売台数予測
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永久帯電防止剤
本製品はQOLの向上に貢献する製品です。永久帯電防止剤は、静電気によるさまざまな障害(電子回路の破壊、電化製品の誤作動、ホコリの付着)や事故(火災、爆発)を防止するために、幅広い用途で利用されています。近年は、半導体用搬送トレイや電子機器・精密部品の包装などを中心とした需要増に加え、防爆用途などの用途拡大も進んでおり、今後の需要拡大に対応すべく、サンヨーカセイ(タイランド)リミテッドのラヨーン工場に生産拠点を立ち上げ、2022年7月から稼働しています。当社のユニークな高機能製品であることから、今後の需要動向に応じてさらなる生産設備の拡充を視野に入れるとともに、新たな市場の開拓と素材開発を進めていきます。
半導体の製品別市場予測
医療・医薬関連
本製品群はQOLの向上に貢献する製品群です。医療・医薬関連としては、主に医薬品用ポリエチレングリコールや中心循環系非吸収性局所止血材などがあります。
医薬品用ポリエチレングリコールは、医薬品添加物として、軟膏基剤、坐薬基剤、錠剤のコーティング剤、原薬としては腸管洗浄剤などに用いられる他、組織再生、細胞培養など、さまざまな用途展開も進んでいます。今後、ジェネリック医薬品の発展による医薬品全体の販売量増加などによる需要拡大に対応するため、当社名古屋工場における設備の更新および改造などを計画しています。当設備は2024年5月に稼働の予定で、生産能力は現在の約2割増強となる予定です。今後さらに生産能力を引き上げる計画を進めています。
中心循環系非吸収性局所止血材は、水と反応して柔軟な被膜をつくるウレタン素材の外科手術用止血材です。2014年の販売開始以降、胸部大動脈や弓部分岐動脈の人工血管置換吻合部の止血材として、日本国内の多くの心臓血管外科領域の手術で使用されており、また、2020年3月に、脳血管を除く血管全体の吻合部へ適用範囲が拡大されて、利用機会が増加しています。また、2019年7月に海外向けにCEマーキングを取得し、欧州市場で販売開始したことを足掛かりに、2021年7月に香港市場、2021年12月に台湾市場へ参入するなど、海外展開を加速しています。今後の需要拡大に対応するため、生産能力を増強することを決定しており、生産能力を現在の約5倍(2024年2月稼働予定)に引き上げることで、需要増に対応した安定供給を確保し、世界的な需要拡大に対応します。