三洋化成グループは化学企業として、事業活動で数多くの化学物質を取り扱っています。製品開発、製造、物流、販売した製品の使用・廃棄にかかる全ライフサイクルにおいて環境・安全・健康を確保し、化学物質による負のインパクトを最小化するようつとめることが化学メーカーの責務です。

方針

化学物質管理規定に、「事業活動で取り扱われる化学物質について、地球環境・生態系・ヒト健康への影響、国内・国際社会の動向を考慮し、国内外の各種関連法規制等を遵守した適正な管理を行う」ことを定めています。
管理対象は、事業所で製造する製品、その原材料、中間体、回収物、廃棄物に含有されるすべての化学物質、ならびに研究開発における化学構造設計、プロセス設計としています。

化学物質管理にかかる組織と役割

レスポンシブル・ケア本部長を統括責任者とし、その指揮のもとに各本部が連携して化学物質管理を行います。
生産活動での取り扱いによる環境への排出は生産本部が管理します。製造物の組成や製造プロセスなどにかかる設計管理は事業本部所属の研究部と生産本部が協業して行います。

組織図

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本部 主責任
レスポンシブル・ケア本部
  • 国内外の各種法規制の遵守と、業界基準、顧客の調達基準等への適合の確認
  • 保安防災、労働安全衛生、環境保安面での適正管理の確認
各事業本部
  • 化学物質管理規定に基づく製造プロセス設計、組成設計と製品の提供
  • 業界動向、顧客の調達基準等の情報収集と適合する製品の提供
  • 顧客への化学物質情報の提供
SCM統括本部
  • 原材料のグリーン調達の推進(当社調達基準の伝達と化学物質管理に関する情報入手)
生産本部
  • 法規制に基づく管理
  • 原材料および製品の安全情報(SDS等)の収集
  • 取扱時のリスクの把握と、リスク低減策の立案、実施
  • 保管、使用にあたっての排出・移動量の算出(測定)と削減
  • 生産条件変更における化学物質管理への影響の確認

化学物質の安全・適切な取り扱い

当社グループでは、業務で多種類の化学物質を取り扱うため、化学物質の物性や有害性についての知識が必要不可欠です。取り扱う物質について、部署内での安全性データシート(SDS)による学習やリスクアセスメントの実施の他、特に有害性の高い特定化学物質や有機溶剤、毒物劇物、防火防災のための危険物取扱などについては資格取得を奨励しています。また、工場のプラントエンジニアは危険物取扱者甲種あるいは乙種第4類の資格取得を必須としています。

資格取得の状況(国内)

2024年3月末現在

資格 有資格者数(人)
危険物取扱者※1 1,961
毒物劇物取扱者 15
有機溶剤作業主任者 520
特定化学物質作業主任者 461
高圧ガス製造保安責任者 259
公害防止管理者※2 60

三洋化成および国内関係会社の生産・研究での有資格者数

  1. 甲種ならびに乙種第1-6類を取得した延べ人数
  2. 大気、水質、騒音、ダイオキシンについて資格取得した延べ人数

設計管理

製品設計にあたっては、ニーズ発現のための「機能・性能」を物理的・化学的な「物性」に翻訳し、この「物性」を発揮させることができるように化学組成を設計することが必要です。製品の製造時や使用時に、取り扱う人に与える影響、環境への排出などをミニマムに近づけ、安全を確保するため、組成設計・プロセス設計、試作、製品化の各段階で、さまざまな角度から審査やチェックを行っています。

製品化に至るまでの各種審査

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製品化にいたるまでの各種審査

化学物質管理規定等
顧客のグリーン調達要求

  • ニーズ
  • 機能・性能
  • 物性
  • 化学組成・プロセス
  • 試作
  • 製品化

各種審查
組成審査、 法規制審査、 化学物質管理審査
新原料審査、 SDS審査、 容器審査
危険性安定性等の審査、 生産設備審査等

≫ 事業を通じた貢献>環境対応製品|環境汚染防止

無溶剤、非ハロゲン、有害物不使用、環境への残留低減をキーワードとして汚染防止、含有低減に配慮して設計した製品を紹介しています。

製品における有害化学物質への配慮はこちら

無溶剤、非ハロゲン、有害物不使用、環境への残留をキーワードとして汚染防止、含有低減に配慮して設計した製品を紹介しています。

排出管理

生産活動で排出する化学物質が大気・水・土壌環境に与える悪影響を低減するため、法規制の遵守はもちろん自主的な排出削減活動を行っています。

大気環境保全

事業所からは、ボイラー、コージェネレーション、焼却炉などの使用による燃焼ガス(NOx、SOxなど)、プラントの反応槽や貯槽などの運転で発生するVOC(揮発性有機化合物)などが大気に排出されます。これらの設備および付帯する排ガス処理装置の維持管理・適正運転により大気環境への負荷低減につとめています。
VOCについては、国内80トン以下、海外10トン以下を最終年度(2024年度)目標としています。2023年度のVOCの排出量は、国内は44トン(前年度比▲22トン)、海外は8トン(前年度比±0)で、グループトータルで52トンとなり、前年度に引き続き2024年度目標を達成しました。2019年度比の削減割合は53%となります。

NOx排出量

NOx排出量

SOx排出量

SOx排出量

ばいじん排出量

ばいじん排出量

VOC排出量

VOC排出量
  • NOx、SOx、ばいじんで2019年度に海外の数値が大きいのは、SDPグローバル(マレーシア)SDN.BHD.で異常な測定値が出たことによる。設備や測定法を点検し、2020年度以降は正常化した
  • VOC集計範囲:国内全事業所とサンヨーカセイ(タイランド)リミテッド、三洋化成精細化学品(南通)有限公司、三大雅精細化学品(南通)有限公司、SDPグローバル(マレーシア)SDN.BHD.

水環境保全

事業所排水の末端では、法令での排水規制値より厳しい自主管理値を設定し、排水の状況をモニタリングして汚染物質の濃度管理を行っています。事業所内の設備の適切な維持管理、防油堤の設置や漏洩防止対策を行って汚染物質が水環境に排出されないようつとめています。

≫ ESGパフォーマンスデータ>環境|水資源関連データ

名古屋地区(名古屋工場、SDPグローバル株式会社、サンノプコ株式会社)の放流先は伊勢湾、川崎地区(サンケミカル株式会社)の放流先は東京湾です。
残りの国内事業所は下水道に排出しています。

COD負荷量

COD負荷量

全リン排出量

全リン排出量

全窒素排出量

全窒素排出量

土壌・地下水環境保全

事業所内での埋立は行っていません。また、事業所内の観測井戸で地下水の状態をモニタリングするとともに、工事などの機会に自社敷地内での土壌の自主調査を継続し、問題がないことを確認しています。

PRTR法への対応

日本やタイでは、PRTR法による環境への排出・移動量の届出制度が実施されています。
当社グループではPRTR法対象物質に加え、法対象外のVOCについても事業所からの排出量を把握し、優先順位を設けて排出削減に取り組んでいます。

2022年度に、国内で排出するVOCのうち、最も排出量が多いにも関わらず有効な対策がとれていなかったクロロメタンの排出削減対策を開始しました。製造プロセスの改善により過剰に投入していたクロロメタンの量を減らすことに成功し、2021年度に17.2トンあったクロロメタンの排出量は、2023年度には6.1トンまで低減できています。
海外では国内で培った排出削減技術を取り入れ、排ガスの燃焼処理や吸着処理などによる削減を図っていきます。

VOCの内訳(2023年度、国内)

VOCの内訳(2023年度、国内)

PRTR法対象物質の排出・移動実績(2023年度)

(単位:トン)

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取扱物質数 取扱量 大気排出量 水域排出量 土壌排出量 廃棄物移動量
三洋化成 100 122,674 25.2 0.4 0 352.9
国内関係会社 53 105,717 3.8 0 0 7.6
合計 112 228,391 29.0 0.4 0 360.5

≫ ESGパフォーマンスデータ>環境|化学物質関連データ

環境関連のコンプライアンス

国内事業所において、2023年度は公害クレーム、環境関連の法令違反・行政指導および訴訟はありませんでした。