化学事業を営む三洋化成グループは、安全は事業活動の根幹であると認識し、無事故・無災害に向け、取り組んできました。2022年1月に起こした死亡事故を真摯に反省するとともに、経営者・グループ全従業員が初心に立ち返り、協力会社と一体となって、労働安全衛生および防災に尽力していきます。
2022年1月15日に発生した死亡事故について
三洋化成工業株式会社の名古屋工場構内(愛知県東海市)において、設備の定期修理後の生産再開準備中に協力会社従業員1名の死亡事案を発生させました。お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、ご遺族の方々に対し謹んでお悔やみを申し上げます。また関係者のみなさまにはご迷惑とご心配をおかけし、深くお詫び申し上げます。
事故の背景
2021年12月から2022年1月に実施した定期修理において、建屋内に設置された設備のマンホール※の蓋の脱着工事を行いました。この復旧時に、蓋の締め付けが不十分な状態のまま、事故の前日から生産再開の準備のために、窒素が通入されました。このことにより、蓋の隙間から窒素が漏洩し、建屋内に窒素が充満した状態となりました。この状態で、被災された方が当該エリアを通行し、本件事故を発生させました。
当社は、事故発生当初より、関係当局による捜査に全面的に協力しています。
- 設備のメンテナンス等のために設けられた、人が出入りできる点検口。
本質的な安全の向上に向けて
この死亡事故を受け、事故対策委員会を立ち上げ、原因の究明などを行うとともに、工場、研究所で本件事故と同様の事故が発生する危険性を総点検し、対策を講じました。工場では換気の強化や安否確認システムなどの対策工事を継続し、安全対策への投資を進めていきます。また、事故原因の調査後に、新たに恒久対策委員会を設置し、安全意識の改革を含む本質的な安全の向上に向けた取り組みを検討してきました。
2022年12月に、グループ一丸となって取り組むため、グループ安全理念、グループ安全方針を制定し、新中期経営計画2025においても重点施策を定め、確実に取り組んでいきます。
グループ安全理念
私たちはすべての事業活動において『安全』と『コンプライアンス』を最優先します。
グループ安全方針
安全はすべてに優先する。
安全は当社グループ事業活動の根幹と認識し、誰一人けがをしない、させないとの強い気持ちで、次のことを基本方針として取り組みます。
- 安全基本ルールの遵守
- 安全衛生活動の実行
- 危機管理能力の向上
安全推進グループを中心とした安全文化の醸成
上記の取り組みを確実に推進するため、従来のレスポンシブル・ケア本部の環境保安統括部および生産企画本部の安全・技術教育センターの業務を取り込み、2023年1月に社長直轄組織として全社安全推進部を新設しました。当初の目的が達成されたため、2024年6月に全社安全推進部は環境保安部の下部組織「安全推進グループ」に改組しました。今後も安全意識の改革とさまざまな施策を深化・拡充し、安全文化の醸成を図ります。
リスクアセスメントの強化と人財育成
従来からハード対策や規則類の制定に取り組んできましたが、リスクを低減するためにリスクアセスメントを強化します。適切なリスク抽出と低減策の立案ができる人財の育成に長期的に取り組み、現場力の向上を図ります。
協力会社員を含めた安全教育の拡充
危険に対する感度の向上、安全行動の教育の重要性が近年さらに増しています。従来から名古屋工場内にある安全・技術教育センターで危険体感教育や階層別教育を実施してきましたが、さらに安全に関する教育を強化します。また、当社事業所内で共に働く協力会社員の方に適したカリキュラムを導入します。
外部機関(保安力向上センター)による工場の保安力評価
当社の安全に対する課題を網羅的に評価し、継続的な安全性の向上を図るため、特定非営利活動法人の保安力向上センターによる保安力評価を導入し、2023年5月に名古屋工場、12月に鹿島工場で評価を行いました。評価で明らかになった課題の改善に取り組みます。