FINANCIAL OVERVIEW2024年3月期決算概況

経営成績

当連結会計年度の売上高は、販売量の減少などにより1,595億1千万円(前期比8.8%減)となりました。利益面では、販売量の減少や新基幹システム稼働に伴う減価償却費の増加などにより営業利益は48億8千6百万円(前期比39.8%減)、経常利益は81億8千6百万円(前期比17.5%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は子会社における減損損失の計上や高吸水性樹脂事業及び中国における生産事業からの撤退に係る損失(事業構造改革費用)の計上などにより85億1百万円(前期は56億8千4百万円の利益)となりました。

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行したことで、経済活動は正常化に向かい、個人消費や輸出に持ち直しの動きが見られましたが、世界的な設備投資意欲の減退など依然として厳しい状況となりました。世界経済は、米国景気は底堅い一方、欧州は景気減速傾向にあり、また中国は輸出の低迷や不動産市況悪化の影響等により景気回復が遅れております。加えて、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東地域をめぐる情勢の悪化による資源エネルギー価格の高止まり・物価上昇など、先行き不透明な状況にあります。

化学業界におきましては、為替相場は、米国のインフレ率の鈍化や日銀による金融政策正常化への期待の高まりなどから円が反発する場面もありましたが、年間を通して米欧の長期的な金融引き締め観測から円安方向に推移しておりました。原油価格は世界的な景気の鈍化はあるものの中東情勢の緊迫化を背景に上昇基調を示しており、また中国の内需不振に加え中国製品の供給過剰により日本およびアジアマーケットにおける価格競争が激化するなど、事業環境は予断を許さない状況にあります。

このような環境下における当連結会計年度の売上高は、販売量の減少などにより1,595億1千万円(前期比8.8%減)となりました。利益面では、販売量の減少や新基幹システム稼働に伴う減価償却費の増加などにより営業利益は48億8千6百万円(前期比39.8%減)、経常利益は81億8千6百万円(前期比17.5%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は子会社における減損損失の計上や高吸水性樹脂事業及び中国における生産事業からの撤退に係る損失(事業構造改革費用)の計上などにより85億1百万円(前期は56億8千4百万円の利益)となりました。

 

2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期
売上高(百万円) 155,503 144,757 162,526 174,973 159,510
営業利益(百万円) 12,439 11,932 11,868 8,123 4,886
同売上高比率(%) 8.0 8.2 7.3 4.6 3.1
経常利益(百万円) 12,704 11,999 12,771 9,918 8,186
同売上高比率(%) 8.2 8.3 7.9 5.7 5.1
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 7,668 7,282 6,699 5,684 △8,501
同売上高比率(%) 4.9 5.0 4.1 3.2 △5.3
1株当たり当期純利益(円) 347.87 330.34 303.76 257.57 △384.99
自己資本当期純利益率(ROE)(%) 6.0 5.4 4.7 3.9 △6.0
総資産経常利益率(ROA)(%) 6.8 6.4 6.5 4.9 4.0
海外売上高(百万円) 60,179 63,567 69,903 76,378 70,802
同売上高比率(%) 38.7 43.9 43.0 43.7 44.4
1株当たり配当(円) 140.0 150.0 170.0 170.0 170.0
配当性向(%) 40.2 45.4 56.0 66.0

 

財政状態

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ74億1千7百万円減少し、1,415億7千7百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末の72.2%から4.6ポイント減少し67.6%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の6,617.11円から6,295.31円と321.80円減少しました。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ36億3千5百万円増加し、2,058億1千8百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が101億2千5百万円増加しましたが、商品及び製品が2億8千万円、原材料及び貯蔵品が13億7千4百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて86億4百万円増加し、1,059億2千9百万円となりました。固定資産は、投資有価証券が31億2千6百万円増加しましたが、有形固定資産が83億1千3百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて49億6千8百万円減少し、998億8千9百万円となりました。

流動負債は、買掛金が32億9千4百万円、未払金が26億6千3百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて65億8千1百万円増加し、535億1千9百万円となりました。固定負債は、事業構造改革引当金47億6百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べて44億7千1百万円増加し、107億2千万円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ74億1千7百万円減少し、1,415億7千7百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末の72.2%から4.6ポイント減少し67.6%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の6,617.11円から6,295.31円と321.80円減少しました。

 

2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期
流動資産(百万円) 85,835 89,340 93,764 97,324 105,929
固定資産(百万円) 93,038 106,382 106,429 104,857 99,889
総資産(百万円) 178,873 195,723 200,194 202,182 205,818
流動負債(百万円) 42,766 46,222 47,904 46,938 53,519
固定負債(百万円) 6,009 6,548 5,257 6,249 10,720
自己資本(百万円) 127,635 140,474 144,479 146,067 139,037
自己資本比率(%) 71.4 71,8 72.2 72.2 67.6
1株当たり純資産(円) 5,789.88 6,371.77 6,549.60 6,617.11 6,295.31
研究開発費(百万円) 5,322 5,384 5,650 5,691 5,222
設備投資額(百万円) 8,219 10,073 9,847 12,033 8,649
減価償却費(百万円) 9,078 9,569 9,533 10,083 10,686
従業員数(人) 2,060 2,096 2,106 2,089 2,042

 

キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し101億4千5百万増加し、271億8千8百万円となりました。

営業活動による資金の増加は、198億1千4百万円(前期は108億5千2百万円の増加)となりました。これは、事業構造改革費用120億5千9百万円、減価償却費108億2千8百万円、仕入債務の増加34億1千6百万円、売上債権の減少12億8千8百万円、在庫削減努力による棚卸資産の減少12億8千1百万円などによる資金の増加が、税金等調整前当期純損失73億4千6百万円、法人税等の支払額26億6千8百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。

投資活動による資金の減少は、62億6千4百万円(前期は101億7千2百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に70億4千2百万円を支出したことなどによるものです。営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた「フリーキャッシュ・フロー」は、135億5千万円の増加(前期は6億7千9百万円の増加)と大幅に良化しました。

 

財務活動による資金の減少は、40億6百万円(前期は23億3千6百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払い37億5千4百万円、長期借入金の返済による支出4億9千万円による資金の減少などによるものです。

 

2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
17,232 22,300 11,328 10,852 19,814
投資活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
△11,115 △12,498 △11,704 △10,172 △6,264
財務活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
△7,084 △4,146 △5,979 △2,336 △4,006
現金・現金同等物
(百万円)
18,009 23,647 18,171 17,042 27,188

次期の見通し

2024年3月期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が緩和され、個人消費や輸出に持ち直しの動きが見られましたが、サプライチェーンの混乱や原材料・部品の供給制約が続くなど依然として厳しい状況となりました。

2025年3月期は社会・経済活動の正常化による景気回復が期待されますが、地政学リスクの顕在化により、原料価格動向や為替動向などは益々予断を許さない状況が続くと予想されます。

このような状況のもと、当社グループの2025年3月期の連結業績については、事業構造改革に伴う利益良化ならびに高付加価値製品の拡販等により、売上高1,450億円、営業利益80億円、経常利益95億円、親会社株主に帰属する当期純利益25億円を見込んでおります。

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