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すばやく広がり、農薬のはたらきを 助ける機能

三洋化成ニュース No.507

すばやく広がり、農薬のはたらきを 助ける機能

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2018.03.01

農作物を病害虫や雑草から守り、収穫量を増やし、農作業の負担を減らすために不可欠な農薬。作物や人体、環境への影響を少なくするために必要最小限の量が使われます。今回はさまざまな剤型を持つ農薬の効果を、最大限発揮させるために加える農薬製剤用補助剤を取り上げます。

 

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農作物の生産を支える農薬

野生の植物は苦み、渋味、毒などによって病害虫や雑草から身を守っています。一方、私たちが食べているほとんどの作物は、人間が食べられるように品種改良されたもの。味や栄養価を高めるように改良されてきた作物の多くは抵抗力が弱くなっています。さらに、農耕地では単一品種が集約して栽培されており、その作物を栄養源とする病害虫や雑草が発生しやすくなっています。

そのため、殺虫や殺菌、除草をしないと水稲栽培では30〜40%の減収、畑作では90〜100%の減収になります。また、除草に対する農家の労力は、水田1000平方メートル当たり10〜15日、畑1000平方メートル当たり20〜30日も余分にかかってしまいます。農薬には、殺虫剤、除草剤、殺菌剤の3種類があります。農薬の有効成分(原体)は、殺虫剤であれば害虫に、除草剤であれば雑草に、殺菌剤であれば作物に、それぞれ浸透移行し、効果的に作用するよう設計されています。

 

必要最低限を均一に散布する

農薬の原体はごく微量で効果を発揮します。多く散布し過ぎると作物に薬害を与える可能性があり、また残留農薬となって人体や環境に影響を及ぼす可能性もあるため、使用量は必要最低限に抑える必要があります。このような理由から、広い面積に均一にムラなく散布するため、原体をそのまま使用することはなく無機質担体(クレイやベントナイト)や溶媒、さまざまな補助剤(界面活性剤や安定剤)などを加えて農薬製剤にして使用します。

補助剤を使用する目的は三つ。必要最低限の量で原体の効果を最大限に発揮させること、農薬を使用しやすい形状(剤型)にして作業性を向上させること、使用者の安全性を向上させ環境負荷を低減させることです。なかでも二つ目の役割が大きく、農薬の剤型に合わせて分散、乳化、浸透などのはたらきをする補助剤は農薬製剤の品質を左右するほど重要なものです。
農薬の剤型には、粉剤、粒剤、水和剤、フロアブル(高濃度の懸濁液)、乳剤、液剤などがあります。稲作の多い日本では、農薬の飛散(ドリフト)が少なく、散布しやすく、水にすばやく溶けて広がる粒剤が多く使われています。

 

最大の効果を発揮させる粒剤用補助剤

粒剤用の補助剤には、バインダー(結合剤)、分散剤、安定剤などがあり、粒剤の分散剤には、粒剤がすぐに壊れ、均一にさっと水中に広がる崩壊拡展性が求められます。


また、散布作業の省力化の観点から、大きい粒剤(ジャンボ剤)が広く使われています。ジャンボ剤は散布数も少なくて済み、畔などから手で簡単に散布できることから、省力化につながるだけでなく、手軽なため適期を逃さず散布できるメリットがあります。散布されたジャンボ剤は、水中で崩壊して分散し水面を速やかに広範囲に拡展(水面拡展)することで、原体が均一な濃度で水田一面に拡散されます。ジャンボ剤の補助剤には、高い水面拡展性(水上拡展性や浮上拡展性などとも呼ばれる)が求められます。

 

機能性に優れた三洋化成の農薬製剤用補助剤

三洋化成は界面活性剤技術を活かし、粒剤用の崩壊拡展剤『トキサノン』、『サンモリン』、『ニューポールPE』シリーズをラインアップしています。これらの知見を活かして、ジャンボ剤用の水面拡展剤として、新たな製品を開発しました。この補助剤は非常に高い水面拡展性を示し、水面に触れた瞬間すべるようにすばやく広がる機能を持ち、稲などの障害物があっても回り込めるほど高い効果を発揮します。また、崩壊拡展剤以外にも、さまざまな補助剤を揃えており、粒剤用結合剤『ニューポールPP』シリーズ、『PEG』シリーズなどをラインアップしています。三洋化成はこれからも多様なニーズにお応えすべく製品の開発に努めていきます。

 

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