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静電気によるトラブルを防いでエレクトロニクス産業を支える

三洋化成ニュース No.513

静電気によるトラブルを防いでエレクトロニクス産業を支える

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2019.03.05

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電子部品の搬送用トレーに

乾燥した冬場に衣服を脱ぐ時や、ドアのノブに触れた時によく感じる静電気。産業界ではさまざまな製造工程で静電気障害を防ぐ対策が講じられています。今回は、高度な静電気対策が欠かせないエレクトロニクス産業で使われている帯電防止剤の機能を紹介します。

 

ホコリの付着、誤作動の原因となる静電気

静電気は、コピー機や空気清浄機などの心臓部、あるいは自動車のボディの塗装にも使われ、生活や産業に役立っています。半面、静電気はさまざまなトラブルの原因にもなります。特にエレクトロニクス産業では、静電気によって引き寄せられるホコリの付着をはじめ、静電気放電がICの誤作動やメモリー破壊などの障害を引き起こすことがあり、製品の品質や歩留りに大きな影響を与えます。そのため、静電気によるトラブルを防止するいろいろな対策が施されています。

 

導電性を与えて静電気を逃がす

静電気は、物体と物体が接触する、または摩擦することで表面が帯電し、発生します。その際に電気を通しやすい物体であれば発生した静電気は逃げることができますが、電気を通しにくい絶縁性の高い物体、例えば髪の毛、繊維、紙、プラスチックなどは静電気がたまりやすくなります。この静電気がたまると表面にホコリや汚れが付着し、製品の品質を低下させる原因となります。静電気にはプラスとマイナスがあり、どちらか一方がたまると逆の電荷を帯びた物体を引き寄せるからです。

そこで、製造現場では静電気による帯電を防ぐ対策がとられています。帯電防止策には、工場に設置されている除電器のようにイオンを用いて電荷を中和する方法や、物体そのものに導電性を与えて静電気を逃がす方法などがあります。

後者の導電性を与える方法には、導電性を持つ物質や帯電防止剤が用いられます。これらを物体の表面に塗布したり、内部に混ぜ込んだりして、塗布物または添加物の導電性を利用して静電気を逃がします。親水基をもった界面活性剤や高分子の帯電防止剤を表面に塗布し、空気中の水分を利用して静電気を逃がす方法もあります。

エレクトロニクス産業の高度な静電気対策

半導体や電子部品などを扱うエレクトロニクス産業では、わずかなホコリや静電気放電が品質に大きな影響を与えることから、製造時に高度管理が求められます。そこで、半導体や電子部品を製造するクリーンルームでは、微細なホコリの付着や部品などの誤作動の原因となる静電気を防ぐため、搬送用トレーや袋などに用いられるプラスチックに、カーボンブラックなどの導電物質や帯電防止剤による静電気対策が施されています。

半導体や電子部品の搬送には、ホコリの付着や誤作動防止以外にも、効果を持続させる、導電物質そのものが悪影響を与えないなどのさまざまな対策も求められます。従来用いられてきたカーボンブラックは脱落してカーボンによる汚れが問題となったり、カラフルな着色ができないなどの欠点があります。三洋化成の永久帯電防止剤『ペレスタット』シリーズ、『ペレクトロン』シリーズにはこれらの欠点がなく、クリーン性が必要な半導体や電子部品の搬送・包装材、特に搬送容器やシート、フィルムに用いられる帯電防止剤に適しています。

 

 

半導体用のトレーに

 

 

幅広い領域をカバーする三洋化成の製品

『ペレスタット』シリーズ、『ペレクトロン』シリーズはいずれも高分子型永久帯電防止剤であり、プラスチック材料に混合して樹脂内部に導電回路を形成し、帯電防止性を半永久的に保持します。両シリーズとも、効果的に筋状の導電回路を形成できるように設計したもので、引張強度などの樹脂物性をほとんど低下させることなく、表面固有抵抗値を下げて帯電防止性を付与できます。『ペレクトロン』シリーズは低抵抗タイプであり、両シリーズはホコリ付着防止や静電気の蓄積防止など用途によって使い分けられています。

今後は、微細で高密度な電子機器や電子部品、またメディカル用途などに応用範囲の拡大が予想されます。分野、用途によって使い分けていただけるよう、高分子型だけでなく低分子型の帯電防止剤も幅広くラインアップしています。

 

 

 

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