MENU
三洋化成ニュース No.515
2019.07.04
私たちが1日の生活を終える頃、朝しっとりしなやかだった髪にも、皮脂やほこりがついて汚れ、また油を養分とするバクテリアなども繁殖してきます。日々の洗髪は、髪の美しさや爽快感を得るだけではなく、衛生面でも非常に重要です。
ただ、シャンプーで髪の汚れを洗い流す際には、髪に必要な油分も一緒に流れてしまうため、シャンプー後にごわつきやきしみが出てきます。この流れてしまった油分を、再び髪にコーティングするのがヘアコンディショニング剤の役割です。
油分をコーティングすることで、髪の表面にあるキューティクルの並びが平らになるとともに、油分自体が持つ潤滑性とも相まって、指通りが良くまとまりやすい髪になります。またキューティクルの状態を整えることで、髪の内部にある必要な水分などの流出を防ぐ効果もあります。
こうした効果を持つヘアコンディショニング剤が、リンス、コンディショナー、トリートメントなどの製品です。近年ではつや出しやスタイリングなどの機能を加えた、水で洗い流さないアウトバスタイプなど、髪のタイプ、用途に合わせたさまざまな製品も登場しています。
髪に油分をコーティングするのがヘアコンディショニング剤の役割ですが、単に油を髪に塗るだけでは、水や湯で洗い流した際に油分も流れてしまいます。ヘアコンディショニング剤には、油分のほかに油分と髪を吸着させるための、基剤となる成分が必要となります。
髪の表面はマイナスに帯電しているので、髪に吸着するためにはプラスに帯電している部分が必要です。また一方で、油分も取り込まなければならないため、親油性のある部分も必要となります。
この両方の機能を併せ持つのが、カチオン界面活性剤です。カチオン界面活性剤は、プラスに帯電したカチオン部分と、親油性のあるアルキル基で構成されているため、油と髪の仲立ちをする役割としては非常に有効。ヘアコンディショニング剤の基剤としては最適な成分なのです。
ヘアコンディショニング剤のなかには、「しっとり」や「さらさら」といった感触で、タイプが分かれている製品がありますが、カチオン界面活性剤はこれらの違いにも一役買っています。それを決めるのが、親油性を持つアルキル基です。アルキル基はその長さの違いで油を吸着できる量が異なり、長い方が油をよく吸着するという特徴を持っています。このアルキル基の長さや骨格を変えることで、異なる髪の感触を生み出すことができます。
三洋化成では、油分の性質や目的とする感触に合わせたカチオン界面活性剤をラインアップしており、市販されているヘアコンディショニング剤で活用されています。
一方で、カチオン界面活性剤以外にも、シャンプーやコンディショナーに使用すると滑らかさを付与し、つやのあるしっとりとした仕上がりにするコンディショニングポリマー『コアシルキーSSP-10』も開発中です。『コアシルキー SSP-10』は、優れたコンディショニング効果を有することで知られるシリコーンを上回る性能を有する製品で、特にノンシリコーン製品での活躍が期待できます。これまでの髪の輝きや指通りに加え、花粉やPM2・5などを寄せ付けにくいアンチポリューション効果を実現するなど、健康や衛生面にも貢献する機能が加わり、業界からも注目を集めています。
お客様のニーズが多様化するなか、三洋化成では、「Sanyo SkinCoffret」プロジェクトを立ち上げ、ヘアケアだけでなく化粧品分野全体に対し、新しい目線で製品開発を進めています。これからも新たな価値提案を通して、豊かな生活実現に向け貢献していきます。