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三洋化成ニュース No.525
2021.03.26
寒かった冬も終わり、いよいよ花咲く春が近付いてきます。春の旅にはいろいろなカタチがありますが、鉄道写真家である僕のオススメは、列車に乗って行くお花見ステーション! 街の入り口でもある日本の駅には、玄関を美しく飾ろうと、たくさんの桜が植えられています。ふだんは寂しい駅も、春になると桜が駅を飾り、とても贅沢な光景に変わるのです。 残念ながら今年は、みんなで出かけてお花見しながらどんちゃん騒ぎは難しそう。今回は、僕のオススメお花見ステーションを紹介します。誌面上でのお花見をお楽しみください。
福島県を走る会津鉄道の湯野上温泉駅(上の写真)は、東北の駅百選にも選ばれた、とても絵になる駅です。まだ雪が残った山々をバックに、駅構内を包み込むようにソメイヨシノが咲き乱れ、ハナモモも鮮やかなピンク色を添えてくれます。観光名所「大内宿」をイメージした駅舎の屋根は、なんと全国でも珍しい茅葺きづくり。 駅舎内には囲炉裏もあり、旅情満点! 温泉の玄関駅だけに、ホーム横には足湯もあり、無料で温まりながら、桜と列車を眺めることもできます。 また、会津鉄道には「お座敷列車」と「展望列車」と「トロッコ列車」を合体させた、ちょっと欲張りな「お座トロ展望列車」が運行されるので、奥会津の車窓風景を楽しみながら、お花見ステーションを目指してみてはいかがでしょう?
東京にも桜の名所はたくさんありますが、オススメは都電荒川線の荒川二丁目電停付近。線路と荒川自然公園の間に桜並木が続き、その下を東京で唯一生き残った都電が一生懸命走ります。この日も下の写真の桜吹雪を狙っていると、ホームにおじいさんとお孫さんがやってきました。ちょうどその時風が吹き、目の前に飛んできた桜の花びらを、お孫さんが見事にキャッチ! 欲しいと思ったものにまっすぐに手を伸ばせる子どもの素直さが、少しまぶしく見えた53歳の僕でした(笑)。
そうそう、この駅からわずか3駅先の三ノ輪橋電停には、僕のギャラリー「ゆる鉄画廊」がありますので、ぜひお花見のついでにお立ち寄りくださいね(笑)。
続いては神奈川県にある御殿場線の山北駅。こちらも駅から線路に沿って桜並木が続いており、かなりボリューム感のある桜を愛でることができます。昼間ももちろんキレイですが、夜にはライトアップが施され、現実とは思えない幻想的なシーンになります。下の写真は、夜空に映える桜を主役に、列車は副題として写したもの。まるで能の舞台のようなつややかな夜桜の風景に、ほれぼれしながらシャッターを切りました。
岐阜県にある桜の名所といえば「淡墨桜」が有名ですが、その最寄りの樽見駅へ向かう樽見鉄道の沿線にも、隠れた桜の名所がたくさんあります。ピカピカの新入生がホームへ向かう下の写真を撮影したのは谷汲口駅。ここは淡墨桜から枝分けされたという見事な桜が、駅を囲うように咲き誇ります。
下の写真は高科駅で撮影したもの。写真には写っていませんが、ホーム脇に立つ2本の桜と可愛い駅の風景の組み合わせはとってもキュート。写真は川の反対側にある「根尾川ガーデン」のハナモモを入れて撮影しました。ふだんは施設の庭園ですが、ハナモモが満開になると駐車場が開放され、誰でも楽しむことができます。沿線の桜の見頃は、4月初旬から中旬にかけてになります。
最後に紹介するのは佐賀県にある筑肥線の駒鳴駅(下の写真)。ここは松山ケンイチさん主演の映画「僕達急行A列車で行こう」のロケ地にもなった、知る人ぞ知る駅。可愛いホームの横には立派なソメイヨシノがあり、周囲に何もない駅を際立たせてくれます。菜の花と桜に飾られた風景に、菜の花色の列車がよく似合います。こんな列車で、桜の咲く駅に、ぶらり途中下車してみたいと思いませんか?
今回ご紹介した駅のほかにも、全国にはまだまだたくさんのお花見ステーションがあります。鉄道旅なら、飲酒だってOK。ぜひスマホのスイッチはオフにして、駅のベンチに座ってぼ〜っと桜を眺めれば、きっと疲れたココロも、癒やされるはずですよ。
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