MENU
三洋化成ニュース No.538
2023.06.05
髪や肌に直接触れるシャンプーやボディーソープは、
汚れを落とす以外にも、泡立ちや洗い心地など、多くの機能が求められます。
さまざまな機能を高めながら、SDGsにも大きく貢献する界面活性剤を紹介します。
シャンプーやボディーソープは、食器用洗剤や洗濯用洗剤とは違い、髪や肌に直接使用します。そのため、皮脂汚れを落とす機能に加え、刺激の低さや洗い心地の良さなど、多くの機能が求められます。一方で、髪や肌は皮脂で保湿力を保っているため、洗いすぎると肌トラブルの原因になりかねません。シャンプーやボディーソープでは、洗いすぎずキレイにするという、それぞれの機能の全体的なバランスが重要になります。
日本では毎日、入浴する習慣があり、洗浄性よりも低刺激性や泡立ちの良さ、指通りの感触などのニーズが高い傾向があります。また、欧米を中心に、その製品を使うことで環境にも貢献できる「クリーンビューティ」という考え方も広まっており、サステナブルな原料を使ったり、生分解性を高めたりという動きもあります。こうしたニーズに応えるため、主成分である界面活性剤はさまざまな観点から開発が進められています。
この界面活性剤は、分子内に水になじむ親水基と、油になじむ親油基(疎水基)を併せ持っています。洗浄の際は、親油基が髪や肌の汚れを取り囲み、そこに水を流すことで水と一緒に汚れが洗い流される仕組みです。
種類は、大きく分けて、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性の4つがあります。親水基がマイナスに帯電しているものがアニオン性で、プラスに帯電しているものがカチオン性。両性は、水のpHによってプラスにもマイナスにもなるもので、どちらにも帯電しないものが非イオン性です。
一般的なシャンプーやボディーソープには、アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤が併用されています。アニオン性界面活性剤は泡立ちに優れていますが、そこに両性界面活性剤を加えることで、使用の際に手に取りやすい粘度が出せ、かつ刺激もマイルドになるため、両者が使われています。
またアニオン性界面活性剤のなかにも、さっぱりした洗い上がりのものや、しっとり肌になじむものなど多様な種類があり、各メーカーはそれらを組み合わせることで、バランスを保ちながら製品の特長を出しています。
ちなみにカチオン性界面活性剤はプラスに帯電しており、マイナスの静電気を帯びた髪に付着しやすいためコンディショナーなどに、非イオン性界面活性剤はクリームや乳液の乳化剤やクレンジング用の洗浄剤などに使われています。
三洋化成の『ビューライト』シリーズは、シャンプーやボディーソープなどに使われているアニオン性界面活性剤です。1990年に初めて開発・上市された製品で、30年以上の歴史を持つロングランのシリーズとなっています。
なかでも『ビューライト LCA』シリーズは、原料に天然由来のアルコールを使用しており、肌に優しい低刺激が特徴の製品です。基本となる『LCA-30D』に加え、独自の技術でより目的成分の純度を高めた『LCA-25N』や、防腐剤を一切使用しない『LCA-25F』などがあります。ほかにも、低刺激でありながら、泡が立ちにくい硬水でも高い起泡性を発揮し、生分解性も高い『ビューライトSHAA』など、さまざまな要望に対応できるラインアップをそろえています。
また、アニオン性界面活性剤に加える両性界面活性剤では、少量の添加で粘度を高め、フケの原因菌を抑制する『ピウセリアAMC』、コンディショナーなどに使用されるカチオン性界面活性剤では、溶剤に高級アルコールを使用することで、製造時の効率を格段に高めた『エコノールTM-22』など、シャンプーやボディーソープに有効な、高付加値製品を幅広くラインアップしています。
こうした性能が評価され、『ビューライト』シリーズは現在、海外でも需要が伸びています。三洋化成では、日本のみで行っている生産を、2024年にタイの関係会社サンヨーカセイ(タイランド)リミテッドのラヨーン工場(タイ・ラヨーン県)にも広げる予定。生産能力を倍増し、広く海外にも供給できる体制を整えています。
一方で、原料となるパーム油では、適切かつ持続可能な供給体制を整えたアブラヤシ農場やプラントからパーム油由来の原料を調達、使用する「RSPO認証」を取得し、これまで以上に環境やフェアトレードへの貢献度を高めています。
SDGsでは、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標6「安全な水とトイレを世界中に」をはじめ、目標8や12といった産業における項目や、目標13、14、15など環境保全にかかわる項目など、幅広いテーマに貢献しています。これからも、多くの人のQOLの向上と、環境や社会にも優しい製品として、使命感を持って開発を続けていきます。