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流動性と保形性を両立させる機能 -セメントの押出成形を助ける

三洋化成ニュース No.504

流動性と保形性を両立させる機能 -セメントの押出成形を助ける

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2017.09.01

建築工事や土木工事に欠かせないセメントは、セメント板と呼ばれる建材として住宅や商業施設などの外壁にも多く使われています。今回はセメント板が押出法という製法で作られる際に、材料の硬さを調整して成形を助けるセメント用流動性向上剤を紹介します。

 

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建築工事や土木工事に欠かせないセメント

セメントは、本来、物と物をくっつける、接合するという意味を持っています。一般的には、モルタルやコンクリートといった建材を作るための結合剤として使われている水硬性のセメントを指します。一般的な土木工事に使われるセメントはポルトランドセメントと呼ばれるもので、水で硬化する水硬性セメントです。その配合の原型は19世紀にイギリスで発明されました。ポルトランドセメントの登場でセメントで作られた製品はその強度と施工性が飛躍的に高まり、建造物の荷重を支える建材として実用性を兼ね備えたものになりました。また、施工のスピードも上がり建築工事や土木工事に使われるようになっていきました。

 

施工性に優れたセメント板の登場

セメントの用途には、コンクリート、モルタル、セメント板などがあります。コンクリートは、セメントと砂、砂利と水を混ぜたもので、住宅・ビルなどの外壁や土台などの建築工事からダムなどの土木工事まで幅広く使用されています。モルタルは、セメントと砂と水を混ぜたもので、主に目地や外壁の表面仕上げ剤などに使用されています。セメント板は、セメントと繊維質材料と水を混ぜたもので、住宅・ビルなどの外壁に多く使われています。

外壁には、生活空間を雨風や暑さ寒さなどから守る、視線や音を遮り快適にする、デザイン性を与えるなどの役割があります。外壁の施工はもともと左官などの職人が現場で土壁やモルタルを塗り、時間をかけて仕上げていましたが、戦後、プレハブ住宅の登場をきっかけに、あらかじめ工場で作った外装材を、現場に運んで組み立てる効率のよい施工法が普及してきました。外装材は、従来の施工法に比べて品質がより安定し、工期も短くて済むだけでなく、左官などを必要とせず誰でも施工できる簡便さを備えています。そうした外装材の一つが、セメントを主原料に使うセメント板(窯業系サイディング)です。

押出成形セメント板の製造に求められる硬さと柔らかさのバランス

セメント板の製法には、大きく分けて押出法と抄造法があります。押出法は比較的硬く練り混ぜた材料を、圧力を加えて押し出すことにより成形する方法です。抄造法には、材料を大量の水で溶いて抄きあげ脱水後加圧成形する方法や、混合した材料をベルトコンベア上に散布し高圧でプレスしながら成形する方法があります。押出法では数センチから10センチくらいの厚みのある板を作ることができ、中に空洞を作ることもできるので軽量化が図れ、断熱材などとの組み合わせも可能です。また凹凸の大きい模様を付ければデザイン性の高いセメント板を作ることもできます。

押出成形セメント板は、セメント、珪藻土などのケイ酸質原料、繊維質原料を主原料として、増粘剤などの混和剤を添加した配合物を板状に押出成形し、表面に模様を付け、切断し、高温高圧の蒸気の中でオートクレープ養生し、塗装などの仕上げをして製造されます。押出成形では、配合物が硬すぎると押し出すスクリューの負荷が高く、押し出されたものの表面も荒れやすくなります。一方で配合物が柔らかすぎると硬化前に型が崩れてしまうため、バランスのよい配合が求められます。つまりセメントの押出成形では、保形性を確実に保つ配合をしたときに、効率よく生産できる押し出し性(流動性および保形性)が得られるかどうかが鍵となるのです。

 

流動性と保形性の維持に欠かせない三洋化成の製品

押出成形で製造するセメント板には、数メートルの板でも折れずに運ぶことができるよう、曲げ強度などを向上するために繊維質を混合します。繊維質としては樹脂繊維やパルプなどを使っていますが、これらの使用により、押出成形に必要な分散性、流動性、成形後の保形性のバランスが失われ、外観劣化や生産性の低下につながります。そこで、外観、保形性、生産性のバランスを調整するために、潤滑、保水、保形、増粘機能を持つメチルセルロースなどの添加剤を加えています。

三洋化成には、これらの配合物に添加することにより、さらに流動性、分散性、保形性を向上させることができるアクリル酸系の押出成形セメント板製造用添加剤『レベフロー』シリーズがあります。『レベフロー』シリーズを添加することで、低圧、高速できれいに成形できるようになります。今後も、繊維質や他の材料が変わっていくことが予想され、配合バランスの調整に欠かせない『レベフロー』シリーズの働きが期待されています。

 

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