MENU

水溶性、油溶性両方の加工液に対応し、あらゆる金属で高い防錆効果を発揮

三洋化成ニュース No.546

水溶性、油溶性両方の加工液に対応し、あらゆる金属で高い防錆効果を発揮

シェアする

2025.01.15

マルチメタル対応防錆剤『サンヒビターNO.70』

PDFファイル

さびはほとんどの金属で起こる現象で、美観を損ね、劣化の原因となります。そのため完成品はもとより、金属加工の段階からさびを防ぐ工夫が施されています。独自の技術で幅広い金属に対応し、高い防錆性ぼうせいせいを発揮できるよう進化した、防錆剤を紹介します。

湿度の高い日本でのさびの発生は、イギリスの約10倍

古い鉄などによく見られるさびの正体は、金属の酸化現象です。金属が空気中に含まれている水(H2O)や酸素(O2)と結合し、酸化物または水酸化物という物質に変化します。これがさびの原因です。

金属のなかには例えば金など、こうした反応が起こりにくい金属もありますが、多くの金属は基本的には防錆処理をしなければ、さびてしまいます。

さびは金属の美観を損なうだけでなく、構造物の強度低下など安全性にも悪影響を及ぼします。そのため、あらゆる金属にさびを防止するさまざまな工夫が施されています。

特に湿度の高い日本においては、イギリスの約10倍といわれるほどさびが発生しやすく、防錆ぼうせいには国内全体で数十億円の費用が使われています。

他の防錆方法に比べ、使いやすい防錆剤

さびを防ぐには、塗装やメッキなどの表面皮膜を含めさまざまな方法が用いられています。なかでも幅広い分野で活用されているのが防錆剤です。他の防錆方法に比べて特殊な設備を必要としないうえに、金属の形状に左右されず処理が難しい箇所にも使用できるなどのメリットがあります。加えて一部の防錆剤には、加工時の摩耗を低減するといった効果もあります。

防錆剤は、例えば金属加工時に使用される場合、加工液が水溶性か油溶性か、また防錆したい期間はどれくらいかなど、用途やニーズに応じて適切なタイプが選択されます(下表参照)。

なかでも吸着皮膜型防錆剤は、金属に吸着する性質を持った防錆剤で、そのまま塗布したり、加工液などに添加するだけで、金属表面に吸着して皮膜を形成することができます。また吸着力がそれほど強くないため、後工程の加工や塗装の前など除去が必要な場合でも、比較的取り除きやすいという特長もあります。

防錆剤には、水になじみやすい構造を持つ水溶性と、油になじみやすい構造を持つ油溶性があります。水溶性は金属加工時の加工油や冷却水に混ぜて使うほか、配管の循環水などにも使用されます。また油溶性は、同じく加工油のほか潤滑油などにも使用されています。

 

■防錆剤とその特徴

マルチな機能を持つ『サンヒビターNO.70』

三洋化成では、1960年代から防錆剤を上市しており、水溶性切削油用防錆剤も広く展開しています。なかでも『サンヒビターNO.50』は、1964年に開発された吸着皮膜型防錆剤で、ロングラン製品として現在も多くの現場で活用されています。この『サンヒビターNO.50』の性能をさらに向上させたのが、2024年4月に上市した『サンヒビターNO.70』です。

『サンヒビターNO.70』は、三洋化成の界面活性剤技術や独自のAOA技術を生かして水溶性と油溶性のバランスを制御した製品で、水溶性、油溶性、どちらの用途にも使うことができます。

金属表面に強く吸着し、緻密ちみつな皮膜を形成するよう構造を最適化したことで、鉄はもちろん、銅やアルミなどの非鉄金属までマルチメタルに対応でき、高い防錆性を発揮します。

これまでは、水溶性防錆剤は金属加工時に邪魔になる泡が発生しやすいといった課題がありましたが、『サンヒビターNO.70』は適度な疎水性を持ち、抑泡性にも優れているため、水溶性加工液に使用した場合でも泡立たず使いやすいところもメリットです。

また、金属加工後にメッキや塗装処理を施す際は脱脂洗浄を行いますが、特に油溶性用途では防錆剤が残りやすいという課題がありました。この点でも『サンヒビターNO.70』は容易に洗浄できるため、防錆剤が金属に残ることで起こる、メッキ不良や塗装不良を防ぐことができます。

さらに一液で連続工程に使え、鉄鋼製と非鉄製を分けることなく同じラインで防錆できるため、ライン切り替えの時間や労力も低減でき管理も簡単です。

加えて、マルチな性能を持っているので潤滑剤や消泡剤など他の添加剤の使用も減らすことができるうえ、製品自体が乳化性を持っているので、エマルション型水溶性加工油に対して乳化剤としても使用することができます。

『サンヒビターNO.70』は、こうしたマルチな機能が評価され、上市以降、業界でも徐々に注目を集めています。

 

■サンヒビター NO.70の性状

記載は代表値です。
※アルキル脂肪酸等の任意の酸にて中和することで、透明均一水溶液に調整可能です。

環境負荷を低減しつつ、産業の発展に貢献する

現在、金属加工業界では、環境への配慮から水溶性加工液の使用が増えているほか、製品の軽量化でアルミなど非鉄金属にも対応できる防錆剤のニーズが高まっています。『サンヒビターNO.70』は、三洋化成がこれまで培ってきた技術を結集し、こうした新しいニーズに応える性能を実現した製品です。

SDGsでは、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標12「つくる責任つかう責任」に貢献するとともに、さらなる金属加工油の水性化を促進できることから、環境負荷低減にも貢献できる製品といえます。

三洋化成では、今後も長年防錆剤を手がけてきた企業として、これまで以上に防錆剤の活用範囲を広げ、さまざまな産業の発展に貢献していきます。

 

当社製品および開発品をお取り扱いいただく際は、当社営業までお問い合わせください。また必ず「安全データシート」(SDS)を事前にお読みください。使用される用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

 

問い合わせはこちら

関連記事Related Article

PAGE TOP