1.外装
(1)塗装
塗膜を柔らかくして保護する
塗膜が硬いと小さな衝撃で塗膜が剥がれたり、傷がつきやすくなります。
この課題を塗膜に柔軟性を持たせることで解決します。
塗膜の柔軟性が増すことで塗膜が衝撃を吸収してはがれにくくなり、被塗装物や塗膜を傷から守ります。
ニューポール BP、BPE、サンニックス PP
ユーコート(サンノプコ)
防錆性に優れる電着塗料用原料
鉄にさびは大敵です。さびから守るためには酸素や水分に触れさせないことが大事です。電気を流して塗料を表面に定着させる電着塗装は、複雑な形状でも細部まで均一に全面塗装できるため、防錆処理に最適です。密着力の高い強固な塗膜をつくり、鉄をさびから守ります。
グリシエール(サンノプコ)
(2)バンパー
PPバンパーの表面を改質して塗装性を向上
燃費を向上するため自動車の軽量化が進んでおり、バンパーには軽量で耐久性があり、成形しやすいポリプロピレン(PP)が用いられています。しかし化学的に安定なPPは他の部材との接着性が悪く、そのままでは塗装ができません。改質剤をPPに混ぜて成形することで塗装しやすくしています。
2.内装
(1)シート
体をしっかり保持するシートクッション材料
シートクッションは乗員の体を保持して姿勢を維持し、体圧を分散させて疲れにくくしたり、フィット感や座り心地を向上させるものです。さらに道路や車体から伝わる振動を吸収して快適な乗り心地を提供します。
(2)シートベルト、エアバッグ
シートベルト・エアバッグ用の強い糸をつくる原糸用紡糸油・仕上げ剤
シートベルトやエアバッグはナイロンやポリエステルなどのポリマーを用いた合成繊維で作られています。繊維を集めて糸をつくり、それを織ったり編んだりすることによって作られるこれらの部材は人命に関わるものであり、特に高い強度が求められています。紡糸油剤は繊維に十分な潤滑性を与えて摩擦による毛羽立ちや糸切れを防ぎ、繊維の静電気を防いで糸にまとまりやすくする(集束性)ことで最終繊維製品の強度を守っています。仕上げ剤は、潤滑油としてだけでなく最終製品の染色・加工を円滑に進めたり柔軟性を与えるはたらきもあります。
サンオイル SBF
(3)インストルメントパネル
内装を高意匠化する表皮材
計器類などを収納する運転席前部のインストルメントパネル(インパネ)は存在感のある部材で高級感や優れた触感などの意匠性が求められます。当社の表皮材は優れた意匠性を与えるだけでなく、強度が高いため薄膜化でき、インパネの軽量化につながり自動車の燃費向上に貢献します。また、従来よりも低い温度で成形できるため、自動車部品の製造工程における省エネにもつながります。
メルテックス
(4)ディスプレイ
光学フィルムの超微細加工に適したUV硬化樹脂
液晶ディスプレイは、微細な加工を施した光学フィルムを重ねて作られ、それぞれのフィルムで光の方向や干渉を制御することで表示や色、明るさ、見えやすさなどをコントロールしています。カーナビやスピードメーターなどの車載用ディスプレイは、フロントガラスへの映り込み度合や運転席からの視認性が運転の安全性を左右するため、光学フィルムによる光の進行方向や強さ、視野角などの制御は非常に重要です。その精密な制御のために光学フィルムには超微細な加工が施されており、その際に光で固まるUV硬化樹脂が用いられています。
ファインキュア
(5)電装部品のコンデンサ
小型化、長寿命化に役立つアルミ電解コンデンサ用電解液
コンデンサは、自動車の電子制御装置の中で電流や電圧を整えて回路動作を安定化したり、電気を蓄えて放出する充電式の電源としてはたらいています。小さいサイズでも多くの電気を蓄えられるアルミ電解コンデンサには、電気のやりとりを行うための電解液が使われています。当社の電解液は、電気の伝導率が高くて耐久性に優れるため、コンデンサの小型化や長寿命化に役立っています。
3.ボンネット内
(1)エンジンオイル・ミッションオイル
温度変化による潤滑油の粘度変化を抑え燃費を向上する
エンジンオイルはエンジンのピストン運動で生じる摩擦を低減してスムーズに動かし、シリンダーの気密性を高めてそのエネルギーをロスなく伝えるなどのはたらきがあります。トランスミッションオイルは変速時のショックをなくし、スムーズな加速・減速をするためには欠かせません。一般に油は高温になると粘度が低下し、低温になると粘度が増加します。自動車の潤滑油は粘度が低すぎると十分な油膜が残らず本来のはたらきを発揮できなくなり、粘度が高くなりすぎるとエネルギー伝達にロスが生じ、燃費が悪くなります。当社の粘度指数向上剤を加えると、温度差による潤滑油の粘度変化を小さくすることができ、燃費の向上につながります。
(2)エンジンオイル
清浄剤
エンジンなどの高温運転で生成する有害なスラッジを金属表面から取り除き、エンジン内部を清浄にします。
(3)ディーゼルエンジン(軽油)
軽油用潤滑性向上剤
ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプや燃料噴射ノズルの摺動部の摩耗を防止するために、軽油自体が一定の潤滑性を持っている必要があります。しかし、排気ガス規制により有害な酸性ガス(SOx)を抑制するために過酷な反応(水素化脱硫)で軽油の低硫黄化が進められ、それによって軽油中で潤滑性に寄与していた成分まで減少していました。潤滑性向上剤はこのような低硫黄型の軽油の潤滑性を向上し、摩耗を防止するものです。
サンフリック
低温流動性向上剤
軽油中に含まれるワックスは低温で結晶化して析出し、フィルターを目詰まりさせてしまうことがあります。軽油用潤滑性向上剤はワックスの結晶が大きくなるのを防ぎ、フィルターにワックスが堆積しないようにするものです。
(4)ブレーキオイルなどの作動油・ギア油・グリースなど
ベース基剤
グリースや作動油などに使用される原料です。温度による粘度変化が小さく、スラッジ(燃焼残渣)を発生しにくい潤滑油や作動油になります。
4.ドア・窓
(1)ウェザーストリップなどのドアや窓のシール材
EPDM用原料
ENBを用いると、比重が小さく耐熱性、耐候性、耐オゾン性、電気特性などの物性バランスに優れるゴムが得られます。
ENB(サン・ペトロケミカル)