1.テレビ、タブレット、スマートフォンなどのFPD
(1)光学フィルム
液晶ディスプレイは、微細な加工を施した光学フィルムを重ねて作られ、それぞれのフィルムで光の方向や干渉を制御することで表示や色、明るさ、見えやすさなどをコントロールしています。光学フィルムの微細な凹凸や屈折率などを調整できるよう、物理的物性、光学的物性の異なる樹脂を品ぞろえしています。
ファインキュア
(2)光学用接着剤や各種レジスト用触媒
スマートフォンなどのディスプレイをはじめ、3Dプリンター材料や半導体などには微細な設計や加工が容易で、熱の影響を嫌う電子部品などでは特に光で固まる樹脂が使われています。樹脂を素早く光で固めるためには触媒が欠かせません。当社子会社のサンアプロ㈱は、硬化後の収縮率が少ない光酸発生剤を提供しています。黄変の少ない透明グレードや溶解性に優れるタイプなど、ニーズに合わせてお使いいただけます。
光酸発生剤 CPIシリーズ(サンアプロ)
2.デジタル家電・デジタル製品
(1)電気を蓄電・放出するコンデンサ
アルミ電解コンデンサ用電解液
コンデンサは、自動車の電子制御装置の中で電流や電圧を整えて回路動作を安定化したり、電気を蓄えて放出する充電式の電源としてはたらいています。小さいサイズでも多くの電気を蓄えられるアルミ電解コンデンサは、テレビ、パソコン、ゲーム機、エアコン、洗濯機、炊飯器などさまざまな家庭用家電やデジタル製品に使われています。アルミ電解コンデンサには電気のやりとりを行うための電解液が使われています。当社の電解液は、電気の伝導率が高くて耐久性に優れるため、コンデンサの小型化や長寿命化に役立っています。
(2)大記録容量ハードディスク製造用
ハードディスクの製造工程用洗浄剤
IT機器や通信ネットワークには、半導体、ハードディスクドライブ(HDD)などの精密部品が使われています。精密部品は構成する部品が微小であったり、高精度な精密加工が必要であることから、少しのごみや汚れが致命的な欠陥を引き起こします。また、私たちが日々扱う情報量は急激に増えており、クラウド化が進むデータサーバーには情報記録媒体としてハードディスクドライブが使われています。情報記録容量の増大に伴い、ハードディスクには非常に高度な清浄度が求められています。ハードディスクに使われる基板は研磨して平坦化しますが、細かい研磨粒子や研磨くずを取り除くために洗浄剤が用いられています。
3.半導体加工用薬剤
(1)レジスト剥離剤
携帯電話から冷蔵庫、テレビなどさまざまなデジタル家電まで、電子機器には半導体が使われています。小さくても大量の処理を高速で行うことができるのは超微細な高密度化によるものです。半導体は、シリコンウェハなどの基板上に絶縁膜や金属膜などの薄膜を形成し、それらに超微細な加工を施して微細な電子回路をつくっています。化学処理やプラズマを使って絶縁膜、金属膜、半導体膜などを削っていきますが(エッチング)、削りたくないところは防食材(レジスト)の役割をする樹脂で保護するため、樹脂のないむき出しの下地部分のみが加工できます。エッチング工程後にはレジストは不要になるため、研磨や剥離剤で取り除きます。当社の剥離剤は、レジスト剥離性に優れ、基材へのダメージが少なく、すすぎ性に優れています。
ケミクリーン TS
(2)半導体用レジストの微細パターン形成に(化学増幅型レジスト)
レジスト剥離剤で述べたように、超微細な加工を施した半導体集積回路を作る際にエッチングするところ、しないところを超精密に制御する必要があります。その微細パターンはフォトマスクを通してレジストを露光することで、レジストにはマスクパターンに相当する微細なパターンが転写され、現像液に溶解するかしないかで目的の電子回路パターンにエッチングさせます。その際、できるだけ微細な回路を描くために、高い解像度が必要になります。そのために露光に用いる紫外線の波長をできるだけ短くすることが有効ですが、露光感度が低くなるという問題があります。化学増幅型レジストは少しの光でも活性種(触媒)を発生し、その触媒が次々とレジスト内部で反応することで、わずかな光でも微細なパターンを形成させることを可能にしています。
光酸発生剤 CPIシリーズ(サンアプロ)
4.電子・光学部品・半導体搬送トレイ、容器
帯電防止剤
プラスチックは多くの電子・光学部品やそのトレイや容器などに使用されていますが、電気絶縁性が高いため、摩擦によって静電気が発生し、蓄積やすい性質があります。蓄積された静電気は空気中のほこりを付着して汚れの原因になるだけでなく、電子機器の誤作動やシステム障害などを引き起こすことがあります。そのような静電気によるトラブルを防止するため、プラスチックには帯電防止剤が使用されています。当社の帯電防止剤は、帯電防止性に優れていることがもちろん、樹脂の物性をほとんど低下させることがなく、半永久的に帯電防止性能を付与できることが特長です。